捕物出版blog

捕物出版のブログです。

消えた直木賞

昭和の頃には、捕物帳はテレビドラマも多数つくられ、文庫化も進んでさかんに版を重ねていたのですが、しだいに状況が変化してきました。

本ばなれが進みだして出版業界を取り巻く環境が厳しくなると、文庫本はどんどん絶版となるように変化しました。

もう10年くらい前に読んだ本ですが、「消えた直木賞 男たちの足音編」(メディアファクトリー)という本があります。ここには有明夏夫氏の「耳なし源蔵召捕記事 鯛を捜せ」が収録されています。直木賞受賞作「大浪花諸人往来」(角川書店)の1編です。「消えた直木賞」という本に収録されるくらい、有明夏夫氏の浪花の源蔵シリーズの本は絶版になっていました。

この本は「直木賞のすべて」を主宰されている川口則弘さんが編者ですが、「受賞作の『大浪花諸人往来』だけじゃない。他の著作ももはや書店でお目にかかることが難しくなってしまった。これは本当にさみしいことだ。埋もれさせちゃいかんよ。」と書いておられます。この「埋もれさせちゃいかんよ」という言葉はずっと記憶に残っていました。

f:id:torimono_shuppan:20181119214616p:plain